Tuesday, November 13, 2007

全盲患者放置 堺市の病院職員が公園に 引き取り断られ

堺市北区の新金岡豊川総合病院(豊川元邦院長)の職員4人が9月、糖尿病で入院していた全盲の男性患者(63)を連れ出し、大阪市西成区の公園に放置していたことが分かった。職員らは放置直後に匿名で119番通報し、男性は救急隊に保護された。患者は治療費を滞納していたほか、トラブルも多かったといい、職員らは「退院可能なため知人に引き取らせようとしたが、断られたので放置した」と説明。病院側も事実を認めている。大阪府警西成署は既に保護責任者遺棄容疑で同病院を捜索し、カルテなどを押収している。
 同病院や堺市保健所によると、男性は約2年前から入院費用など治療費を滞納。約3年前から退院可能な病状だった上、自宅が判明したため、職員4人が9月21日午後1時ごろ、男性を車に乗せて大阪市住吉区内にある男性の自宅を訪れた。しかし、同居する前妻が本人の持病を理由に引き取りを拒否したことから、同2時20分ごろ、西成区内の公園で男性を降ろして放置した。
 職員らはその際「60代の男性が公園で倒れている。目が見えないらしい」と119番通報し、男性は保護された。救急隊員が同病院に問い合わせ、職員が放置を認めた。
 男性は約7年前に入院。生活保護が打ち切られて治療費が滞納状況となり、備品を壊したり看護師に暴言を吐くなどトラブルもあったという。豊川院長の次男の泰樹薬局長は「職員が独自の判断でやったことだが、医療従事者としてとんでもないことをした。申し訳ない」と話している。
 また、救急隊の通報で事実を把握した同保健所は、院長らが従業員の監督を怠った行為が医療法違反にあたるとして先月、改善策を提出するよう病院を行政指導した。
 同病院は83年に開設。内科、外科、小児科などがあり病床数183床。【高田房二郎、花牟礼紀仁】
 ◇「誰も指示せず」病院会見、患者軽視が見え隠れ
 堺市北区の新金岡豊川総合病院では、体調を崩したという豊川元邦院長に代わり次男の泰樹・薬局長らが会見した。何度も頭を下げたが「なぜ放置したか分からない。誰も指示していない」と、あくまで現場の職員の判断だったと強調した。一方で「放置するくらいなら、自宅に男性を降ろした方がよかった」とも発言し、患者軽視の姿勢も見え隠れした。
 病院側の説明によると、放置することを判断したのは4人のうちの年長者の渉外係の職員(47)。男性の病状は安定し退院は可能だったが、家族など受け入れ態勢がなく退院できない「社会的入院」で長期の病院暮らしを送っていた。目の不自由な人向けの施設などへの入所を勧めても拒否。他の患者とトラブルを起こして6人部屋を独占し、暴言を恐れて辞めた看護師もいたという。
 トラブルの多い患者について「病院に連れ帰れないというプレッシャーを職員は感じていたのでは」という質問に、病院側は「分からない」と答えるのみ。男性にはまだ謝罪していないという。

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