京都府教委の「親のための応援塾」
就学を控えた子供を持つ保護者の不安を解消しようと、京都府教委は「親のための応援塾」を試験的にスタートさせた。PTAが主体となり、すでに小学校に通う子供を持つ親たちが「後輩」を支援する。就学前の子供の生活習慣を改善させることで、入学したばかりの子供が騒いだり、席を離れたりして授業が成り立たない「小1プロブレム(問題)」を解決するヒントも探る。(京都総局 渡部圭介)
応援塾は今年9月から府内29校で始まった。各校のPTAが月2、3回、翌春からその小学校に入学する子供を持つ親を集め、相談会や学校見学会を開く。イベント内容はPTAに委ねられ、10分でできる朝食の料理教室や、通学路ツアーといった趣向を凝らした企画が行われている。
府教委が応援塾開始前に行ったアンケートで、親が抱えている不安は、就寝・起床時間や家庭学習の仕方など生活習慣に関することに集中した。府教委社会教育課の常田泰典係長は「親たちは、子供が小学校に入学した後の生活リズムがどう変わるのか、想像できずに不安に思っている。実際はそれほど親自身のころと変わらないのに、生活が一変してしまうと思っているんです」と話す。
これまでは就学前の子供を持つ親と、小学校との接点は毎年12月に学校が開く説明会ぐらいしかなかった。大勢の保護者を前に学校長が説明する形式では、個々の親が抱える不安を解消するほど時間的余裕はない。一方、応援塾の柱となる相談会では、同じことで悩んだ経験を持つ先輩のアドバイスを受けられるだけに学校説明会の役割を補うことも可能だ。
「保育園や幼稚園の保護者の間でも情報は交わされるが、そうした横のネットワークでは、断片的な情報のやりとりに終わってしまうことが多い。不安を解消するには経験者の意見が有効で、親同士の縦のつながりが必要」と常田係長は話す。
相談会では、「些細(ささい)なこと」と思い込んでため込んでいた不安を互いに打ち明けあう。先輩が失敗談を語り、同じ悩みを持っていたことを知ることで安心につながるという。
さらには先輩からアドバイスをもらい、入学前から家庭で起床時間や読書習慣など小学校生活を意識した生活を過ごしてもらう。半年近く前から、親子で入念な準備をしておけば、子供が入学に伴う生活環境の変化に順応しきれず起こる「小1プロブレム」を防げるというわけだ。
同課の安久井由紀子主事は「小学校入学は、子供にとってコミュニティーの枠組みが大きく変わる瞬間。親の交流をもとに、子供同士でも上下のつながりができれば、4月以降の生活に早く順応できると思う」と期待を寄せる。
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