Friday, November 16, 2007

続・めぐみさんの遺骨問題 田原氏のインタビューに拍手

朝鮮から提出された、横田めぐみさんのニセ遺骨問題に関し、僕は先月、ツカサネット新聞に
「めぐみさんの遺骨問題、マスコミは機能停止してないか?」
という記事を掲載し、「事実を事実として知らせること、国民の知りたい要求に応えること。それがマスコミの使命だとするなら、どうしてこれを放置しているのか。警視庁が取材封鎖を行なっても、それに立ち向かうのがマスコミではないのか」と書いた。

ところが、その後も日本のマスコミは沈黙を続けていた。これが日本のマスコミなのかと思っていたところ、先日、テレビ朝日の「サンデープロジェクト」という番組で、田原総一朗氏が単独、北朝鮮を訪問し、北朝鮮最高人民会議の楊副委員長に対し、この問題についての質問を投げかけた。

加えて、この番組に対し、「週刊新潮」(11月22日号)が「将軍の外交はお見事」「遺骨鑑定は怪しい」北朝鮮を喜ばせた「田原総一朗のヨイショ会見」という記事を掲載した。僕は、田原氏のインタビューのポイントは、「第三国=アメリカ」での遺骨の再鑑定にあると思う。これに何とか楊氏に同意させたのが田原氏の意図ではなかったか、と考えている。

アメリカでは北朝鮮のテロ支援国指定の解除が、まさに問題になっている。仮に、この時期に、日本政府がめぐみさんのニセ遺骨をアメリカで再鑑定し、それが正真正銘のニセ物と分かれば、何らかの影響はあるだろう。これは決して枝葉末節ではない。北朝鮮が日本との交渉でニセ遺骨を提出したというのが仮に事実であれば、北朝鮮という国が、国家間の交渉でウソでたらめを平気で行なう不誠実な国であるという明確なアピールになるはずだからである。仮に、日本側の根拠不明確なあいまいな主張であるという状況を続けるなら、逆に日本が疑われるだろう。


本当なら、北朝鮮が国家間の交渉でウソでたらめを行なったということは、日本の強いカードになったはずである。それをカードにもできないからこそ、拉致問題は進展しないと言っても過言ではないだろう。ニセ遺骨が日本の勇み足であったのなら、それを引き摺ることなく、過ちは過ちとして処理し次なる課題に取り組む。本当にニセ遺骨なのであれば、強力な外交カードとして最大限に利用する。これが正論ではないか。

今回の田原氏のアメリカでの再鑑定の追及を、僕は日本の政府、マスコミをも視野に入れたアピールであると好意的に受け止めたい。それに対して、「週刊新潮」の記事は「ナンバー3は大嘘」だとか、「デヴィ夫人より格下」だとか批判にすらなっていないものだった。言ってみれば、週刊誌代を返してほしいくらいに情けない内容である。単に、インタビューで北朝鮮をヨイショしすぎだといった内容で、ニセ遺骨のアメリカでの再鑑定にさえ一言も触れていないのである。

こんな週刊誌をお金を出して買うくらいなら、ネットで無料で見られるオーマイニュース、斉喜広一記者が書いた「田原総一朗氏の『訪朝レポート』をどう読むべきか」の方が断然、素晴らしい。斉喜氏は、サブタイトルを「大使に2年前の英誌ネイチャーを持ち出す」としている。ニセ遺骨問題を何故「日本」ではなく直接「北朝鮮の当事者」へ? という疑問をもって書かれているが、それこそ、僕が前回、ツカサネット新聞で書いた記事「めぐみさんの遺骨問題、マスコミは機能停止してないか?」につながる。

前回の記事にあげた韓国の朝鮮日報の記事は、10月11日だったが、このような記事はこの2年間、何度か韓国のメディアなどには書かれていた。

マスコミが日本にとって都合のいいことしか書かず、日本にとって不利なことを書けば非国民というのであれば、それは戦前と同じである。あのミッドウェイ海戦での敗北の後、その戦闘の参謀長が日本に帰国し、現実と大本営発表との間の落差に情けなさを感じたそうである。日本人がいち早く事実を知っていれば、その後の犠牲は少なくなっていたかもしれない。僕が知りたいのは、事実である。マスコミが追い求めるのも、本来は事実ではないだろうか。

ここで、このニセ遺骨問題への3つの疑問を改めて書いておこう。
1)北朝鮮からのめぐみさんのニセ遺骨がニセ物である、という確率はどれくらいなのか。
2)遺骨がニセ物だとするなら、どうして返還しないのか。今、どんな状態になっているのか。
3)今のままで北朝鮮にこの遺骨をニセ物だと認めさせることは可能か。不可能だとすれば、何故か。(第三国にニセ物と認めさせることも1つの方法である)
誰かに答えてほしいものである。

今回は田原総一朗氏に拍手を送りたい。


● 「田原総一朗氏の『訪朝レポート』をどう読むべきか」
オーマイニュース2007年11月14日掲載)

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(記者:iko)

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