Friday, November 16, 2007

患者も知って! 医師の過労・過労死の実態

「後輩の女性研修医が、その1年前に自分が使っていた同じ宿直室でくも膜下出血で亡くなった。見舞いに行って目にしたのは、ひからびたような見るも無残な姿。小児医療にすべてを捧げて働いた結果がこれなのかと思った」

 「夫は月に10~13回も宿直をして、家に寝に帰ってくることはなかった。10数年前のことだが、医療現場は改善どころかさらにひどくなっているように感じる。医師が人間らしい生活を送れることが、患者さんの命の安全を守ることにつながるのではないか」

 「大学院生だった息子が急死したが、まだ労災認定されていない。息子を犬死させず、このような不幸な事例を生まないためにも、最後まで闘っていきたい」――。

 医師が疲れきって病院を辞め、病院そのものも閉鎖されて、そして患者が行くあてを失う「医療崩壊」は、昨年あたりから社会問題化してきたが、実際に医師の過労死・過労自殺がかなりの件数にのぼっていることは、まだあまり知られていない。

 「過労死弁護団全国連絡会議」(川人博幹事長)は14日、東京都内で「なくそう! 医師の過労死」シンポジウムを開いた。冒頭に挙げたのは、過労死・過労自殺をした医師の遺族や元同僚といった出席者の声の一部だ。以下、シンポジウムで議論された医師の過労の実態や、時代遅れの労働状況、その原因と解決策について紹介する。

■眠れない宿直~徹夜明けの手術は普通?

 過労状態になる直接の原因は、仕事の忙しさというより、睡眠時間が取れないことが大きいとされる。

 勤務医時代の後輩の過労死を「自分が死んでいてもおかしくなかった」と受け止める「ちばこどもクリニック」の千葉康之院長は、厚生労働省の定める「宿日直」と実際の違いを指摘する。

 厚労省の定義では、宿日直とは時間外または休日に、巡回や電話の応対、非常事態への備えのために勤務するもので、ほとんど労働する必要がない勤務。医療機関であっても、軽度または短時間の業務のみ、とされている。

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