Friday, November 9, 2007

看護師:横浜の病院、離職率17.5% 全国平均を大幅超--06年度調査 /神奈川

全国平均12.3%を大幅超--診療報酬改定が影響
 横浜市内の病院に勤務する06年度の看護師の離職率が17・5%に達し、日本看護協会による調査の全国平均(05年度)である12・3%を大きく上回っていることが横浜市病院協会(荏原光夫会長)と同市の共同アンケートでわかった。不足している看護師数も計45病院で693人に上った。昨年の診療報酬改定以降、市内では看護師不足が顕在化しており、横浜市立大付属病院でも特別室が休止に追い込まれるなど深刻な影響を及ぼしている。【池田知広】
 ◇退職理由の1位、子育て 条件良い大病院に
 アンケートは看護師の現状把握と対策を考えるため8月に実施され、市内137病院のうち91病院が回答。06年度の離職者数は計1920人に上り、在職看護師数に対する離職率は17・5%だった。
 病院経営上の問題点でも「医師不足」より「看護師不足」を挙げた病院が上回り、影響で病床の平均稼働率は87・7%にとどまっていた。
 看護師不足の原因については、回答した病院の83・5%が患者7人に対し看護師1人を配置する昨年の診療報酬改定を挙げた。離職した看護師の退職理由は1位が子育て、2位が結婚で、市医療政策課の担当者は「横浜は基準を導入した勤務条件の良い大病院が多く、そちらに流れてしまうのだろう」と看護師の争奪戦が背景にあると分析する。市内では10月1日現在、22病院が7対1基準を導入している。
 また、子供を持つ看護師のために保育施設を確保していたのは91病院のうち45病院だった。保育施設を「必要ない」と答えたのは3病院のみで、病院側も子育てのための環境整備の必要性を認識しながら実行できていない現状が浮き彫りとなった。
 横浜市では今年6月、同市立大付属病院(同市金沢区)が看護師不足のため特別室15室の運用を休止しなければならない事態になった。病院側は院内保育の終了時間を午後6時から午後9時に延長して子育ての環境を整備するとともに、駅に看護師募集のポスターを掲示するなど来年の特別室再開に向け力を注いでいる。
 同市は看護師の養成に重点を置いており、06年度も市内の3看護専門学校へ約4億6000万円の補助金を出している。今回のアンケートで深刻な状況が浮き彫りになったことから、復職・離職防止に向けても支援策を取る方針。鶴見区内の4病院は共同して退職した看護師の病院見学会を開いているが、同区にある汐田総合病院の窪倉孝道院長は「横浜は人口当たりの病床数が少なく、看護師不足でさらに稼働率が低くなれば安心して入院できる基盤が崩れる」と危機感を募らせている。

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